早蕨山荘赤政は、120年の歴史を誇る老舗として、創業以来、手間ひまかけた料理を提供し続けています。その中でも、特に愛されている一品が「かしわすき焼き」です。これは、割下を使わず、出汁の旨みを最大限に活かす赤政ならではの鍋料理です。季節を問わず、通年でお楽しみいただけるこの料理には、老舗ならではのこだわりが詰まっています。
この「かしわすき焼き」の最大の特徴は、二日かけて仕込む自家製の鶏ガラ出汁です。赤政では、余分な脂と雑味を取り除き、鶏の骨からじっくりと旨みを引き出すため、時間を惜しまずに仕込みを行います。できあがった出汁は澄んでいて、口に含むと深い滋味が広がり、料理にまろやかな深みを与えます。この出汁に、旬の地野菜や豆腐、きのこ、そしてしっかりとした歯ごたえを持つ地鶏(かしわ)が加わり、一層豊かな味わいに仕上がります。
また、割下を使うことなく、出汁そのものの味を引き立てるのも特徴です。赤政では、食材本来の旨みを活かすことにこだわり、調味料は控えめに使用します。甘辛い割下とは一線を画し、出汁の風味をしっかりと感じられる鍋です。このため、食べ疲れることなく、最後まで楽しむことができるのです。
「かしわすき焼き」のルーツには、赤政が昔から大切にしてきた地域の歴史も深く関わっています。かつて、松茸が豊富に採れた頃、赤政は松茸山へ出向き、新鮮な松茸をそのまま鍋に加えてお届けしていたのです。松茸の香り高い風味と、地鶏の旨味が見事に調和し、当時から評判となっていました。この伝統を受け継ぎ、現在でも「かしわすき焼き」は通年メニューとして提供されており、松茸を使った季節限定のアレンジもお楽しみいただけます。
赤政の「かしわすき焼き」は、120年の歴史を誇る老舗ならではの一品です。その味わいは、時間をかけて引いた鶏ガラ出汁と、素材を尊重したシンプルな調理法によって成り立っています。伝統的な技法と新鮮な食材が生み出す、静かながらも深い味わいを、ぜひご堪能ください。
ゆったりとした時間が流れる赤政の空間で、この伝統の味を味わいながら、日々の喧騒を忘れ、心と体を癒すひとときをお過ごしください。地域に根差し、120年の歴史を大切にしながら、これからも皆さまに愛され続ける料理を提供し続けます。